2026.06.01

トウモロコシの仲間

2015年に始めたトウモロコシの栽培はその1年目に関東東北豪雨に見舞われ、収穫間際の背丈が3メートルもあるトウモロコシが水没して全滅しました。水が引いてから刈払機で全てのトウモロコシを虚しくなぎ倒して処分した時のことは忘れられません。
社長の昇はトウモロコシの畑を親戚から借り、種まきは知り合いの農家にお願いし、刈取りも農機具メーカーのヤンマーさんとクボタさんに発売前のデモ機を出してもらい収穫する段取りでした。誰しもこんな目に遭って、翌年はトウモロコシの栽培を諦めるだろうと想像していました。実際諦めるのは簡単だったからです。
しかし、諦めず翌年も種をまき約3トンのトウモロコシを収穫したのです。コンバインから出てきたトウモロコシはまるで宝石のように輝いて見えました。それからもトウモロコシを一人で栽培し続け6年が過ぎた頃には、近所の若い農家さんが興味を示し作業を手伝ってくれるようになりました。実は彼もトウモロコシ栽培に興味があったのです。それは、トウモロコシは地下に深くたくさんの根を張るため畑は水捌けが良くなり、大豆や小麦をローテーションで栽培するのに効果的だと考えていたからです。
さらに高齢化により委託される田んぼが増えて行く中、手間のかかる米の耕作面積を広げるには限界があり、作業時間のかからないトウモロコシに一部転換を考えていたようです。
そして翌年に彼はトウモロコシを栽培することを決断したのです。それは需要先として梅山豚がいるということが決め手になったようです。こうして1軒、また1軒とトウモロコシを栽培する頼もしい仲間が増えて行きました。社長の昇は梅山豚の合間にトウモロコシを育てていたため、雑草に負けて収穫量は思うように増えませんでした。しかしどうでしょう、プロ農家たちは雑草の管理を徹底してあっと言う間にトウモロコシを沢山収穫してみせたのです。それを見て昇も自分はまだまだだと思いました。
2025年収穫量は60トンを超え、日本では台風や梅雨などがあるため北海道以外では難しいだろうと考えられていたトウモロコシ栽培が可能なことが証明されました。さらに近年の夏の猛暑で畑の作物は育たないものが多い中、トウモロコシだけはイキイキと実をつけています。
思わぬもう一つの収穫は、梅山豚の肉質が向上したことでした。複数の料理人から梅山豚の美味しさがアップしたと褒められたのです。12年目を迎えたトウモロコシの取組は紆余曲折の末、実を結びつつあります。
飼料用トウモロコシの年間輸入量は1100万トン、ウクライナやイランなど地政学リスクにより安全保障の観点からも国内生産の重要性が増しています。ひとりではできる事が少ないけれど、地域の仲間と手を携えて未来ある取り組みが行えていることを誇らしく思ったのでした。

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