2010.03.01
第10回~飼料の研究
「梅山豚のあしあと」も第十回になりました。売れなかった時期の梅山豚に一筋の光明が…。
茨城に戻り梅山豚を引き継いだ昇ですが、売れない時代が続いていました。
母豚規模も縮小しましたが、赤字は少なくなりませんでした。
そのうちに、どうしてこんな儲からないことをしているんだろう・・・と心細くもなっていた時代でした。
そんな時、ある雑誌に「農業と環境」という特集が掲載されていました。これからは環境の時代になると書かれ、畜産と環境の関わりを研究して新しい形の畜産をしようと考えた昇は、筑波大学大学院環境科学研究科に社会人入学しました。
そこで食品副産物に出会います。『麦茶の搾り粕(大麦)』『パスタ』『甘藷皮』『豆腐粕』など、食品を製造する過程で発生してしまう人間が利用しないものが沢山ある事に気付きました。これらを利用して環境に優しい梅山豚をつくろう、と昇は決心します。
餌は肉豚後期用、肉豚前期用、種豚用の3種類をつくリました。それぞれの飼料では必要な栄養が違います。健康に育てる為に懸命に飼料栄養学も学びました。また、栄養が整っていても粒度や香りが悪く餌を食べないこともありました。
試行錯誤の連続の中で、昇はあることに気付きます。
既製の配合飼料を食べさせた時に比べて確実に肉が美味しくなっていたのです。
「脂が軽く」「肉汁が豊か」「香りが良い」という現在の梅山豚の特徴は、飼料を食品副産物を原料に自家製造することによって、より際だつようになりました。
こうして、美味しくて環境に優しい現在の梅山豚ができあがっていきました。