2010.05.11

第12回~生産のあしあとその4 種の保存

 「梅山豚」は皆さんご存じの通り原種豚、つまり豚の種類の名前です。
 世間一般の「~~豚」などの合成豚(2種類以上の豚を掛け合わせてできた雑種)とは異なります。
 社長の昇は、お会いする人から「梅山豚は日本にほとんどいないので独占でいいですね」と言われます。実は、そこが昇の最も苦労するところでした。日本にいないということは、外から導入できないということです。つまり、自分たちで種を保存し、更新していかなければなりません。
 当時は、沢山子豚を産むとか、子育てがうまいとか、体格が理想的とかで種豚を選抜していました。しかし、そういった指標での選抜はついついある特定の系統にかたより、徐々に近親交配に陥っていったのです。
 さらに近親交配による活力の低下は、昇に廃業すら考えさせました。
 特に2003年は深刻で、梅山豚が順調に育たず、梅山豚倶楽部の会員様以外にレストランなどにお届けしていたものを、3ヶ月もお休みしてもらった事がありました。
 こうした、梅山豚特有の問題を解決するため、梅山豚の種雄、種雌とその子豚全120頭を一斉にDNA鑑定しました。また、そのDNA鑑定の結果を基にどの雄と雌を交配するかという交配プログラムも専門家に策定していただきました。
 交配プログラムの策定以降は近親交配による活力の低下も無くなり、順調に種豚を維持・更新できるようになりました。「梅山豚」を継続して皆さんにお届けしていくためには、こうした取り組みを続けていく事が必要です。
 塚原牧場が梅山豚を保存していかなければ、いつか日本に梅山豚はいなくなるでしょう。 昇は思いました。
 そして、それは塚原牧場に委ねられた使命なのだと…。

一覧に戻る