百貨店の催事への出店
東日本大震災から時間が経過しても、原発事故の風評被害が影響しているようで相変わらず梅山豚の受注は以前の水準を回復できないままでした。
イーアスつくばでの直営店も閉店せざるを得ず、梅山豚の販売に苦戦していました。しかし考えました。
梅山豚を知らない人はまだまだ多い。
東京ではそれなりに認知度が上がって来ましたが、特に中部、関西、九州では知っている人が少ない。
そんな事から、認知度を上げるために百貨店にて催事をさせていただこうと考えました。
催事に立って梅山豚の安全性の説明をしながら直接お客様に語り掛ければ、突破口を見いだせるのではないか?との思いでした。
そこで既に梅山豚肉を販売してくれていた実績のある百貨店にお声がけし、1週間の催事を試みる事になりました。
初めての催事は驚きの連続でした。
催事では朝礼で前日の売上成績が発表されます。するとどうでしょう、私の向かい側の「出汁」のお店がうちの売上の10倍をゆうに超えていたのです。
ひっきりなしに来店客があり、まとめ買いをしている様子に釘付けになりました。
しかし、その「出汁」のお店も10年前はこれほど売れる事は無かったそうです。
お客様ひとりひとりとの信頼関係をコツコツと積み重ねる以外、催事には近道が無いことを教えられたようでした。
大丸京都店、伊勢丹新宿店、松屋銀座店・・・そこからは社長自らが店頭に立って、肉まんや焼売、生ハムやソーセージ、キーマカレーなど梅山豚の商品を販売しました。
一人一人に試食を手渡しながら梅山豚について説明をし、安全性をアピールする日々が続きました。
催事での手応えを掴みかけ、このまま毎月のようにどちらかの百貨店で催事をすることを検討していたその時、新たな試練に直面する事になりました。
それは未知のウイルスによる被害の広がりでした。
そのウイルスは農場の成績に大きなダメージを与え、一旦罹ってしまうと何度も何度も繰り返し猛威をふるうものでした。(注:これはPEDウイルスと言いここ5年間に国内で50万頭もの豚が死亡しています。)
そのため、もし梅山豚が罹ってしまった場合の事を考えると社長が農場を離れ催事に出る事は難しくなりました。
防疫体制の確立が最優先課題になり、養豚業界が新たなステージに入ったのを実感するのです。