飼料工場の完成
2016年3月に飼料倉庫を建設した昇は、その隣にいよいよ飼料工場の建設に着手しようとしていました。倉庫と工場を連結して利用できれば使い勝手がいいと考えたのです。それまでは40年以上前に父が仲間と豚を共同で飼育していた空き豚舎を利用して飼料を製造していました。そこは雨漏りが酷くて、床に凹凸がありフォークリフトが運転しにくく、周囲は雑草が生い茂っていて夏はやぶ蚊に悩まされるようなところでした。そこでは、フォークリフトや、近くに駐車していた大型トラックも盗難され保険会社からクレームが来るほどでした。そんな場所でスタッフは何年も餌づくりを頑張ってくれていましたが、飼料工場新設の話がでると皆大変喜びました。
しかし飼料を運び込む大型トラックが荷下ろしをする予定のスペースは親戚が土地を保有していました。先ず昇はその叔父に土地の購入を打診しました。叔父は快く応じてくれて半分は購入することができました。もう半分は遠い親戚が土地を保有していましたが、土地の購入は断られてできませんでした。しかし、その土地を使わないと飼料工場を建設しても大型トラックが荷下ろしできないため、今度は土地を賃借させて欲しいと打診し、それならとOKがもらえました。また、住宅街の中でしたので大きな道路から狭い道路に入る際に境界ブロックがあり大型トラックが曲がれないので、町に申請して拡張したりと、工場建設以外にもやることが沢山ありました。
こうして2018年3月、ようやく飼料倉庫の隣に飼料工場を建設することができました。完成してからも運営面では様々配慮をしなければなりませんでした。それは住宅街の真ん中に工場があり、飼料製造中の騒音や粉餌が舞った埃などが飛散しないよう気を配り、飼料原料の受け入れや飼料の搬出をするトラックの入場時間を朝7時以降とするなど、地域住民の理解を最優先に運営をすることにしました。
最終的に私たちが目指すゴールは地域に根ざすこと、つまりテロワールに繋がります。地域の農業や食品産業と連携しながらその受け皿となることが梅山豚を飼育して行く存在意義と考えるようになりました。そう、地域のアイコンとしての梅山豚、その美味しさはこの地域ならではのものになって行くのです。