2022.12.19

暑くて寒い日本の家

 史上最も暑い夏を記録した2022年、東京の猛暑日は16日を数えて、それまでの13日を大きく上回り過去最高となりました。
 特に6月終わりからの暑さは強烈で、7月1日には各地で40℃を上回り、命の危険すら感じるほどでした。
 世界的にも猛暑となり、特にヨーロッパでは熱波により山火事が起き、ライン川の水位も下がるほどで、500年に1度の干ばつと囁かれていて、食料生産や経済活動にも様々な影響を与えています。
 暑いことには慣れているはずのタイからの実習生ですら、
 「にほん あついね~」と話しています。
 詳しく聞いてみると夜が暑いそうで、タイではエアコンは無かったけど、日本ではエアコンが無いと夜眠れないと話していました。
 南向きのアパートは仕事を終えて帰ると暑いのでしょう。
 こんなに暑いとエアコンは欠かせません。
 エアコンが各部屋に設置されて、家族が家に戻ったら各部屋でフル稼働、それをおよそ10年おきに買い替えていく、というのが日本の一般的な家庭のイメージでしょう。
 特に熱は窓とサッシから入って来たり逃げたりするようで、二重や三重ガラスになっていない家が日本ではまだ80%以上もあることが大きな原因となっています。
 また、壁の断熱が足りないことも指摘されています。
 夏は暑く冬は寒いのが日本の家の問題なのです。
 また各部屋にエアコンを設置していることは、部屋は暖かいが、廊下やトイレ、バスルームが寒く、温度差によるヒートショックで命を落とす人が年間19,000人もいるそうです。
 これは交通事故死の5,000人より圧倒的に多い数です。
 ここから言えるのは、個別の部屋ばかり暖めてはいけないという事です。
 断熱性能の高い家なら、2階建ての1軒屋でも1台のエアコンで家じゅうを温めたり冷やしたりできるそうです。
 これならエアコンの買い替えも1台のみで、トータルでは家計に優しいものになるかもしれません。
 しかも、ヒートショックの心配は激減します。
 1970年代までは日本の家も欧米の家もほぼ「無断熱」に近い建物でした。
 当時欧米の家で1年間に使う暖房・給湯エネルギー量は灯油換算で1㎡当たり20リットルくらいでした。
 その後オイルショックが起こり欧米は家の断熱化が進み、1985年には16リットル、1988年には12リットル、2001年には9リットル、2009年には6リットルまで義務化されています。
 日本ではようやく2020年に一定の基準が設けられましたが、その最高基準でさえ欧米の1988年基準以下の低い性能なのです。
 現在新築されている家の6割以上がその最低レベルの基準さえ満たしておらず、国の省エネルギー基準が義務ではなく目安というところにも問題があると考えられます。
 毎年やってくる暑い夏と寒い冬にどう備えるかということは、日本に生きる私達に課せられた課題なのです。

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