2022.10.19

洋上風力発電の時代へ

 電力不足と言われ再三の節電要請が発出されたこの夏、お店でも職場でも家庭でも様々な節電協力をして何とか乗り切ることができました。
しかし、さらに冬の方が厳しい電力不足が来ると聞き、電気はどうなっているの?という気持ちになったのは私だけではないでしょう。
 そもそも東日本大震災により原発が全てストップして、石炭やLNGという火力発電に依存してきた日本、再生可能エネルギーを増やして電力のバランスを取ろうと考え、固定価格買取制度(FIT)をスタートさせました。
企業も家庭も積極的に太陽光パネルを設置し、先進国で最も太陽光発電の割合が多い国が日本でもあります。この夏は晴れの日も多く、太陽光発電が電力不足を補って貢献したようです。
 しかし、冬はそうは行きません。
何故なら日照時間が夏とは比較にならないからです。
夏のように太陽光発電に頼ることができないこの冬、原発も安全基準をクリアして地元の了解をとるという新たな原発はこの冬には間に合いません。
そうなると火力発電は出力を増やせるのか、ウクライナ情勢で価格が高騰するLNGは確保できるのか、いよいよ正念場が来そうです。
 そんな中、あるニュースが飛び込んできました。
国が入札した洋上風力発電の3地域に、驚くべき単価で落札した企業が現れました。
それは三菱商事のグループです。
秋田県能代市・三種町・男鹿市沖の48万kwでは1kw時13.26円、秋田県由利本荘市沖の82万kwでは1kw時11.99円、千葉県銚子市沖の39万kwでは1kw時16.49円と、いずれも2位以下を大きく引き離しました。
高騰する最近の電気料金を考えると驚くべき低価格で、島国日本は海岸線も長く、太陽光とは違い昼も夜も発電可能なことから大きな期待を抱かせるニュースです。
洋上風力発電は世界的にも注目が集まり、イギリスが先行し最近は中国が圧倒的に世界シェアを拡大しています。
 三菱商事は国内では風力発電の実績が無く、逆に実績のある企業を向こうに驚きの価格で落札したのは、10年以上前から欧州で、なかでも英国、オランダ、ドイツで着実に取り組んだ実績があるからでしょう。当初は海底送電事業で基礎を築き、オランダを代表するエネルギー事業者Eneco社を傘下に入れ洋上風力のノウハウを蓄積して来ました。
 日本には事実上洋上風力建設の実績は無く、運転や維持に関する多数の人員も教育や訓練をして行かなければならなりません。
しかしながら三菱商事グループは上記の豊富な海外実績から圧倒的な低価格で実現できると計画したのでしょう。
 いよいよ2030年以降日本にも洋上風力発電の時代が来ます。
IEA(国際エネルギー機関)の見通しによれば日本は洋上風力発電のポテンシャルは電力需要の9倍も賄える可能性があると試算しています。
海に囲まれた日本が自国でエネルギーをまかなう時代が早く来てほしいと願うそんな冬になりそうです。

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