新しい技能実習生
農場で働く技能実習生のカンジャナは2019年10月にタイから日本にやって来ました。
日本に来て程なくコロナ禍となり、一人で暮らすアパートと農場を自転車で往復する日々となりました。
カンジャナは2児の母でもあり、13歳と7歳の男の子をタイに残して技能実習にやって来ました。
コロナ禍はタイも同じで、日本にいる自分も心細いけれど、タイの家族が感染しないか気が気でない日々が続きました。
せっかく日本に来たのに、日本食を食べに行ったり観光地を案内したりできないまま2年が過ぎいよいよ今年は3年目、技能実習制度では3年間が一つの期限なのです。
当初塚原牧場では2名の技能実習生を迎える計画を考えていました。
先ずは1人目を迎え入れて1年くらい経って慣れて来た頃、2人目を迎えられたらというものでしたが、コロナ禍と重なり2人目は入国ができずに1年以上が経過していました。
このままでは2人が同時期に仕事の引継をする期間も作れない、そんな不安がよぎりましたが、ようやく今年の5月に二人目の技能実習生ピントンが入国できて配属になったのです。
ピントンは26歳、タイでは通常ニックネームで呼び合うそうで「プー(蟹の意味)」というニックネームが付いていて、日本ではプーちゃんと呼ぶことにしました。
身長が146センチメートルと一番小さいスタッフでもあります。
小さくてもガッツがありパワフルで先輩のカンジャナに習って笑顔で仕事を始めています。
タイでは豚の仕事をしていたこともあり、人工授精などは教える事が無いほど上手で驚きました。
タイ語で細かく指導してもらえるピントンはみるみる仕事を覚えますが、2年半前のカンジャナは大変だったことでしょう。
社長の塚原から日本語で指導を受けていましたが、果たして最初はどの程度理解できたのか。
ピントンはムードメーカーでもあります。
「お疲れ様です」「お昼ですよ」「母乳チェックお願いします」「発情来ないねぇ」など社長の口調を真似したりして、カンジャナを良く笑わせています。
カンジャナも毎日タイ語を話せるようになり、アパートでは一緒にお料理を作ったり、買い物に出かけたりとストレス解消にもなっているようです。
この10月で帰国する先輩のカンジャナと過ごす半年はピントンにとってかけがえのない期間となることでしょう。
自分が先輩として次に入る新しい実習生に教えて行く、そんな仕組みが農場に定着して行くことを期待して。
そして私たちは3人目の技能実習生を新たに迎え入れる準備に入るのでした。