海辺の彼女たち
映画「海辺の彼女たち」は藤元明緒監督の新作で、技能実習生として来日した若きベトナム人女性労働者たちの苦悩を描いた作品です。
技能実習生として来日したアンとニューとフォンはある夜、搾取されていた職場から力を合わせて脱走を図ります。
新たな職を斡旋するブローカーを頼りに、辿り着いた場所は雪深い港町。
やがては不法滞在となる身に不安が募るも、故郷にいる家族のためにも懸命に働き始めます。
しかし、安定した稼ぎ口を手に入れた矢先にフォンが体調を壊し倒れてしまう。
アンとニューは満足に仕事ができないフォンを心配して、身分証が無いままに病院に連れて行くが——。
国境を越え実質的に出稼ぎに来た彼女たちの覚悟と生きざまが、他人事ではない物語として心に迫ると高い評価を受けています。
実は世界第4位の移民大国と言われる日本、今後日本の人口は減り続け、2100年には今の半分になると予想され、外国人の労働者無しには成り立たない現実を国民が理解することから始めなければいけません。
コロナ禍の日本でいま外国人技能実習生は様々な不安と闘っています。
実習期間が終わってもなお帰国したくても帰国できない人、実習先企業がコロナで影響を受け倒産したりして雇用を継続できなくなった人、人とも自由に会うことができず、慣れないマスクを常に着用し、ワクチンを遠い異国の地で接種する事になり・・・・
一方、外国から日本に入国できないで待機している人も多くいます。
ワクチンが進んでワクチンパスポートが世界で標準化された場合、日本と同等のワクチンの接種が入国の条件になることでしょう。
そうなると発展途上国のワクチン接種を日本が支援して行く必要がありそうです。
彼ら彼女らはもはや日本に欠かせない労働力なのですから。
私達もタイからの技能実習生を受け入れて初めて気づく現実があります。
実は彼ら彼女らには厚生年金が徴収されています。
しかし実習が終わった後それは返還されるようなのですが、それならどうして徴収するのでしょう?
健康保険料だけではダメなのでしょうか?
厚生年金を負担する現役世代の1人としてカウントしていることを多くの国民は知らないことでしょう。
所得税や住民税についても税務署に免税の申請をすれば支払いは免除されますが、その仕組みを実習生や受け入れ企業で知らない人は多いでしょう。
住民税などは1年後に後払いですから、3年の実習期間が終了して実習生が本国に帰国してから、住民税を支払っている企業も多いのではと感じます。
農業以外にも造船や飲食、食品製造など既に実習生の彼ら彼女ら無しには成り立たない現場が日本には多くあります。
しかし、実習生の実際を多くの日本人は知らず、紛れもない労働者であるのに技能実習生という名前の通りだと誤解させています。
どこかでこの仕組みは見直しを迫られるでしょう。
外国人技能実習生がいききと暮らせる開かれた国にすることが急務だと感じています。