9年目のトウモロコシ
今年で9年目のトウモロコシの収穫をしました。忘れもしない1年目の2015年は関東東北豪雨に見舞われ付近の川が氾濫し、収穫直前で完全に水没してしまい収量ゼロからのスタートでした。2年目以降も近隣でトウモロコシを栽培する農家さんは無く、クボタさんにデモ機で収穫を手伝ってもらったり、成田市のトウモロコシを栽培する農家さんに協力してもらったりと、実は細々何とか継続しているという状況でした。
しかし昨年より、地元のクローバーファームさんがトウモロコシを作り始め、自社のトウモロコシ畑の作業も委託することができ、一気に収穫量が前年比10倍の20トンになりました。今年からはさらに2軒の農業法人がトウモロコシをつくり始め、トウモロコシ専用に改良されたコンバインも導入し、50トンを超える収穫量になりそうです。
そうなると梅山豚だけでは使いきれません。国産のトウモロコシを使える畜産農家を探し、茨城県内の鴨の生産者に辿り着きました。地域で作ったトウモロコシを地域で流通していく、耕種農家から畜産農家まで計5軒での取り組みが始まります。
日本はトウモロコシを年間1600万トン海外から輸入していて、そのうち1100万トンが畜産の飼料として利用されています。ウクライナ侵攻から、小麦やトウモロコシなど世界の穀物供給には懸念が示されていて、その価格も高騰しています。それに加えて円安が価格高騰に拍車をかけています。米あまりの日本は、どれだけ作ってもあまることの無いトウモロコシに取り組むチャンスが来ています。
しかし、その道は平坦ではありません。トウモロコシは年1回の収穫です。生産する農家さんが増えても、乾燥して保管して需要に合わせて供給していくという仕組みが未だにないからです。生産農家でもない、畜産農家でもないその中間の業者が必要になって行くのでしょう。また、世界相場でもあるトウモロコシは価格変動が激しく、今後さらに高騰すれば国産トウモロコシの引き合いが増すでしょう。逆に下落した場合、高価な国産トウモロコシを利用する意味がどこにあるのか、それを付加価値に変えられる畜産農家を育成して行くことも重要だと考えられます。
日本の農地を活用し、畜産物の安定供給に貢献するトウモロコシは必ず脚光を浴びると確信しています。ウクライナ侵攻と円安いうピンチは、日本の食糧安保に残された最後のチャンスかもしれません。