災害への備えを再構築する
今年の元旦に起きた能登半島地震、お正月の団欒を襲った大地震は人々の生活を容赦なく奪い、その被害の大きさに自然の猛威を思い知らされています。亡くなった方のご冥福をお祈りし、被災者の方々が一日も早く穏やかな生活を手に入れられるよう願います。
震度7の揺れと大津波に見舞われた被災地、防災袋を手に取る時間も無く着のみ着のまま家から逃げ出すのが精いっぱいだったことでしょう。食料も水も、防寒服も歩きやすい靴もないまま、停電した避難所に身を寄せる被災者を想うと胸が締め付けられます。
地震大国と言われる日本、阪神・淡路大震災から東日本大震災まで16年、今年で29年しか経過していませんが、その間にも日本はたくさんの地震に見舞われています。地震に限らず水害も多いのだから、常日頃から平常時と災害時を分けるのではなく、普段利用している商品やサービスが災害時に適切に使えるよう社会を変えていく必要がありそうです。そんな考えが「フェーズフリー」という言葉で広まっています。
実は塚原牧場でも具体的に実践しています。敷地内に太陽光発電所を設け、毎月5000~10000kwを発電しています。発電した電気の一部を電気自動車に充電し利用しています。災害時も太陽さえ出れば発電され、車のみならず事務所、農場まで電気を供給できるよう準備中です。水は井戸水を利用しています。井戸水を汲み上げるポンプは仮に停電しても発電機で動くようになっています。食料品では鯖缶やシーチキンなどの缶詰や、レトルトカレー、パックご飯などの常温保存食品も常にストックし、それを定期的に食べるようにしています。カセットコンロを使って鍋を囲んだりするのも、災害時に役立ちます。太陽光で充電できるLEDランタンを購入し、スマホを充電したりしているのもフェーズフリーの一例です。
また、ファッションでも保温性の高い服を着て常日頃からエアコンの利用を抑えたり、撥水性の高いアウターを利用したり、歩きやすい厚底スニーカーを利用したり、災害時であろうと平常時であろうと同じという安心感が、もしもの時に落ち着いた対応ができることに繋がります。キャンプをするのもいいでしょう。テントを張って、寝袋で寝て、自炊して、電気のない生活をしてみるというのもフェーズフリーと言えます。
今後南海トラフ巨大地震が2035年前後に起きると予想されている日本、非常時に落ち着いて行動するために平常時から備える。防災対策はフェイズフリーという新たな考え方で再構築されていくのでしょう。