2024.04.02

食料は石油でできている⁈

 江戸時代末期の1853年ペリーが浦賀に来航し、210年間という長い鎖国の歴史に幕を閉じることになった日本、自由貿易へ進みはじめ商社が誕生することにつながりました。それから170年あまり、およそ3400万人だった人口は1億2000万人に増え、同時に石油や食料も大量に輸入する国へと変化しました。輸入した石油の用途は熱源(火力発電所、暖房など)として42%、動力源(自動車、船舶、飛行機など)として39%、原料(プラスチック、化学繊維など)として18%、その他1%として利用されています。
 実は現在の農業では大量の石油が使われています。トラクターは燃料が無ければ田畑を耕すこともできません。収穫した農作物を運ぶのもトラックです。さらにハーバーボッシュ法が開発され、空気中の窒素と水素から無尽蔵に化学肥料が作れるようになりました。しかしその化学肥料も大量のエネルギーを使って作られています。ある研究者の試算では、米1kcal(キロカロリー)作るのに2kcal以上の石油が投入されているとか。もちろん江戸時代ではトラクターもトラックも化学肥料もありませんでした。石油なしには作れない現代の食料、それを指して食料は石油でできているとも言われています。
 江戸時代には1732年享保の大飢饉、1782年天明の大飢饉、1833年天保の大飢饉と大きな飢饉が繰り返し起きました。いずれも天候不順や冷害、火山の噴火などが原因ですが、多くの餓死者が出て人口が減少したと伝えられています。当時は石油や食料を輸入する事は無く、全て国内で賄っていました。馬や牛や人力で田畑を耕し、船で物資を輸送し、落ち葉や農業残渣から人糞までも堆肥に利用していました。日本には人口に対して平らな耕作適地が比較的少なく、土壌に投入する堆肥も限られていることから3000万人程度から大きく人口が増やせなかったと考えられています。
 グローバル化した現代において、貿易が止まり鎖国のようになるとは考えにくいのは事実です。しかし、ウクライナ戦争、パレスチナ戦争が起き、気候変動はさらに大きくなり、円が1ドル150円まで下落し、ロシア、アメリカで大統領選挙があるなど、地政学リスクは一気に高まりかねません。
 多くの食料を輸入に頼る日本ですが、自国でつくる食料には大量の輸入された石油が投入されている現実があります。洋上風力発電や地熱発電などに取り組んで、火力発電所などで使用する石油を減らしエネルギー自給を増やしていく努力を続けなければ、食料すら作れなくなるかもしれません。様々なエネルギーリスクに備える時代に突入していると言えます。
*私たちが生産する梅山豚の飼料用トウモロコシは、化学肥料を使わず梅山豚の堆肥で生産しています。

一覧に戻る