黄砂の原因
2023年は黄砂のニュースが特に多い年です。
日本への飛来も増えていて、健康被害も懸念されています。
そもそも黄砂って、どうして起きるのでしょう?
調べてみると、黄砂は東アジア内陸部のゴビ砂漠や黄土高原、タクラマカン砂漠といった乾燥・砂漠地帯の砂が強風によって上空に巻き上げられ、偏西風などに乗って中国・モンゴル・韓国・日本などに飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象のことだそうです。
黄砂は年間通じて発生していますが、2月から増加し特に3~5月に多く発生しています。
それは、この時期積雪が無くなり地面の乾燥が進み、植物の繁殖度合いがまだ少ないため砂が舞い上がりやすく、偏西風も生じやすいからです。
その黄砂の発生が近年増加しています。
原因として新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区、黄土高原などの砂漠化・乾燥化の進行が挙げられます。
これらの地域では長年にわたって放牧や開墾、森林の伐採が行われ、表層の土壌が失われ砂の層が表出してしまっているからです。
これまでで最も大きな黄砂による被害は1993年5月に中国で発生した大砂嵐です。
瞬間最大風速34メートル、砂嵐は地上から300メートルの高さに達し、視界はゼロだったと言われています。
12万頭の家畜が死亡または行方不明となり85名の死者が出ました。
2000年代に入り中国政府は過放牧、過開墾、過伐採の禁止や緑化植林の取組が大々的に行われました。
日本も政府による資金援助や技術支援、NGOやボランティアの派遣など林業分野で中国への協力を実施してきました。
その結果、現在では黄土高原の森林の面積は1949年に6%だったものが2010年に26%まで増加しています。
しかし、樹木は生育に多くの水が必要で、今度は逆に水資源が不足する事態も起きています。
黄砂は必ずしも悪者とは言えない側面も指摘されています。
現在分かっているだけでも、海洋へ降り注ぎ海中にミネラルを供給したり、植物プランクトンの栄養となっていることがわかっています。
ハワイなどの太平洋の島々には流出する表層土壌を補う役割もあり、含有するアルカリ成分によって、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)を中和し、酸性雨の発生を抑制したりもしています。
日本も被害者としての側面だけではありません。
実は農産物やカシミヤなどの衣類の輸入を通じて、間接的に中国の砂漠化に関わっているのです。
それは例えば、私たちがカシミヤニットの購入を増やすたびにカシミヤヤギが増え、黄砂の発生頻度に影響していることを意味しています。
黄砂は他人事ではありません。一人一人が購入したカシミヤニットを大切に長く使い、廃棄物の削減に取り組むことが必要なのでしょう。