エッグフレーション
2022~23年の冬は鳥インフルエンザが猛威を振るっています。
2023年2月20日時点で、25道県76事例発生し、約1478万羽が殺処分され過去最多を記録しています。
そのうち採卵鶏は1385万羽に上り、全国で飼養されている採卵鶏約1億3700万羽の1割以上が処分となっているのです。
こちら茨城県は卵の生産が日本一ですが、100万羽を超す大規模の養鶏場での発生が3例目となりました。
最近ではお隣の市町でも発生が相次ぎ、自衛隊と県の職員ばかりでなく、災害協定を結ぶ地元の土建業者や畜産業者にまで応援要請が来て、ウイルスを拡げない速やかな処分に地域一丸となって協力しています。
世界的にも鳥インフルエンザは猛威を振るっています。
アメリカでは日本をはるかに上回る4300万羽の採卵鶏が死んだか殺処分されており、大幅な供給不足に陥っています。
このため卵の価格は対前年比で210%も上昇して1個60円ほどになり、卵(エッグ)と価格上昇(インフレーション)を足したエッグフレーションという造語まで登場するほどだそうです。
また、アメリカに限らずフランスでは418件、韓国では99件と日本を上回る発生件数を記録しており渡り鳥が帰って行くゴールデンウィーク頃までは厳重な警戒が必要です。
高病原性鳥インフルエンザH5N1は鳥ばかりか人に感染するのでは?という疑いから恐れられてきましたが、まだその段階に入ったとは言えません。
しかし、南米ペルーでは3000頭を超えるアシカが鳥インフルエンザのために犠牲になっています。
これは哺乳類にも感染するという事実となりました。
さらにスペインでもミンクに感染しているのが明らかになり、確実に人に近づいていると推察されます。
コロナウイルスに続くパンデミックが鳥インフルエンザで起きるのか、注視する必要があります。
こうしたことから、日本でも卵が値上がりしています。
東京の卵の平均卸価格は335円と過去最高に達し、品不足ばかりか卵を使った商品の販売を休止する動きが起きています。
梅山豚肉を卸すレストランでも卵の仕入れ値は1パック500円を超えたという話が聞こえています。
物価の優等生として私たちの生活を支えて来た卵は、飼料価格の高騰とも相まって一気に贅沢品へとなるのかもしれません。
しかし、その栄養価から卵の価格はこれまで少し安すぎたのかもしれません。
親鳥まで感染したため雛の供給にもブレーキがかかり卵の品不足は1年程度続く見通しで、再び渡り鳥の季節が訪れそうです。
卵の価格はもう元には戻らない、そんな予測すら現実味を帯びています。
命をいただくことに感謝をすることを改めて卵から教わっているようです。